名バット職人の引退。
スポーツ用具メーカー、ミズノのプロバットマイスター、久保田五十一氏が先日引退されました。
落合選手、イチロー選手、松井選手など球界の名プレイヤーのバットを制作され、テレビなどにもよく出ておられたのでご存知の方も多いと思います。
実に55年間、バット製作一筋。
以外にも、野球はされた事が無いそうです。
それが逆に、余分な知識がない分、選手の要望に素直に答える事ができて良かったとか。
そして、いつも口にされるのが、バットの材料となる木材を供給してくれる自然への感謝です。
MLBが150年にわたり、バットの材料を新素材に変えることなく木製を貫き通してくれたのもラッキーだったと。
バット材は、以前は国産のアオダモやトネリコなどが主流でしたが、現在は産出量が激減し、9割は外国産メイプルやホワイトアッシュです。
今、プロ入りする選手は、アオダモのバットは供給してもらえないそうです。
以前にご縁があって、久保田名人や野球少年たちと一緒にアオダモの植樹をしました。
写真は、植樹の後に少年達にバットの話をされているところ。
「木は、芽が出るところを選べない、種が落ちたところが日陰でも、岩の隙間でもそこが一生の場所、精一杯生きなければならない」と語っておられました。
アオダモは芽が出てからバットになるまで80年以上かかります。
今、野球少年がアオダモを植えてもそれを使うのは、ひ孫の世代。
何でもすぐに結果を求められる現代で、自然と対峙するにはそれなりの時間間隔と覚悟が必要ですね。
久保田五十一名人、長い間お疲れ様でした。