木の話 6 クス(楠)
クスは、街中に比較的多く生えているため、目にする機会が多い木です。
特に社寺には多く植えられており、冬でも葉が茂り、幹が細かく割れた木があれば
クスだと思います。
クスは大木に育つので、全国各地にある巨樹に良く登場します。
あの、「となりのトトロ」のトトロのねぐらもクスでした。
また、クスは葉や幹に樟脳の香りが含まれます。
この樟脳の匂いを初めて嗅いだとき、「たんすにゴン」のにおいを連想する方が多いと思います。実際防虫効果があり、古来より防虫剤や鎮痛剤として利用されてきました。
※たんすにゴンは人工物であり、樟脳は含まれていません。
もし、公園や社寺でクスノキを見つけたら、葉っぱを揉んで匂いを嗅いでみてください。
強い、樟脳の匂いがします。
材料として使われることはそんなに多くないですが、材料は比較的軟らかく、少しでも削ると強い香りを放つので、遠くにいてもクスを加工している事がわかります。
木肌は表現が難しいですが、南洋材特有の表情をしています。
もともと、南方の木のため北日本では、植生していません。
逆に、九州地方には巨樹が多く存在しています。
先ほど出てきた、トトロのねぐら。
良く大木の中が空洞になっているのに、木は生きている事があります。
これは、木にとって実際生きている部分は幹の外周と枝葉であり、中心部は固定化した炭素です。
木は、外周部分は形成層といわれ、水分を吸い上げ、空気中の二酸化炭素から光合成で炭素をせっせと固定化しています。
逆に、すでに炭素の固定化が終わった部分は、腐って空洞になっても問題ありません。
むしろ、その空洞は熊が冬眠などに利用するので、巨樹の洞(うろ)は、森にとっては必要です。