木の話 3 トチ(栃)
「トチの絹肌」、こんな言葉があります。
数ある材木の中でもきわめて白く、また滑らかな木肌をしています。
樹木は、大きな葉を成し、不細工な栗のような実をつけます。
信州などでは、アク抜きをして「栃の実せんべい」「栃餅」の原料として使われます。
水気を好み、谷筋などによく生えています。
トチの葉っぱは小枝の先から7枚くらい同時に生えています。
これは、植物学的には「掌状複葉」といい、全体で1枚の葉っぱになります。
同じ仲間に、マロニエがあり、フランス・シャンゼリゼ通りの並木が有名です。
非常に大木に育ち、直径1メートルを超えるものもあります。
「縮み杢」と呼ばれる立体的な木目が現れる事があり、テーブルの天板などに人気があります。
縮み杢は、大きくなりすぎたトチの自重だったり、雪国に多いためその重みで縮んだり・・・色々な原因があるようです。
材木としては磨き込めばとても滑らかで、しっとりしています。
加工が容易なため漆器の木地などにも古くから使われます。
色が濃いブラックウォールナットなどと組み合わせて、コントラストを活かした工芸品やおもちゃに使われたりもします。
9月22日からの無垢の素材市にも栃の縮みが登場します。
会場で探してみてください。
見つけたときは撫でてみるのもお忘れなく。